【風景演劇 応援メッセージ】鈴江俊郎 氏からのメッセージ

posted on 2022.03.22

東温で延べ約一ヶ月間アーティストが滞在しながらリサーチと作品創作を行ない、東温の河之内地区にある棚田と豊かな水のある風景を舞台に、この瞬間・この場所でしか見られないパフォーマンス作品を発表する今回の“風景演劇プロジェクト『風景によせて2021 かわのうち あわい』”。

開催にあたり、愛媛県西条市に在住の劇作家であり演出家の鈴江俊郎氏から今回の滞在アーティスト“ソノノチ”の皆さんに応援メッセージをいただきました。
京都から移住し、愛媛で活動されている鈴江氏と京都から愛媛に滞在しているアーティスト“ソノノチ”。滞在や移住、来訪といった人と土地、人と人の交流や間接的な関係性が生まれている今回のアーティスト・イン・レジデンス企画。

京都と愛媛という二つの土地の偶然の繋がりから生まれた応援メッセージをぜひご一読ください。

【応援メッセージ(鈴江俊朗 氏)】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

応援するメッセージがうまく書けるか、自信がない。

京都のこのグループを私は一度も見たことがないし、おそらく会ったこともない。縁があると言えば、私が仲間と20年以上も前に作った「京都舞台芸術協会」を、今も支えてくれていることくらいだ。

演劇表現は、世間のなかではまったくよぶんなものだ。演劇などなくても人は飢え死にしない。パン、コメ、味噌醤油の方が重要だ。だけど、演劇表現がない町や村は、味気ないものだ。人はなんのために生きるのか?生き延びるために生きるだけなの?どうせ死ぬのに?子や孫が生きてくれるとしても、どうせその子も孫も死ぬのだ。原子力発電は便利に40-50年ほどは電力を作ってくれるけれど、残された致死量をはるかに超える放射性廃棄物は、半減期が10万年を超える。そんなに長期、外に漏れないように密閉を続けないといけない。コンクリートの材料の石灰石はとれるの?巨大な補修工事を50年間隔でやるほどの材料、道具は維持できるの?産業革命から300年ほどしかたってない私たちが、そんな先のことまで約束できるの?100,000年なのだ。そんな笑えるようなあわれなストーリーのすぐそばで生きている現代の私たちは、ますます「人類はそんなに長くない」という現実から目をそらせなくなっている。

どうせ滅ぶ私たち。種はいずれ滅ぶ。それはヒトに限ったことじゃない。もっと言えば、この星だって寿命がある。星、星団、星雲……何億年も先のことを考えれば、絶対に滅ぶ日が来る。

じゃ、生きてるなんてことにどれほどの値打ちがあるんだろう?

ゲイジュツする、ってことはそこを直視する作業だと私は思う。……応援したい。風景の中で人が動く。絵がある。なにかそれを、芸術だ、と言い切ってしまう人たちがいる。それを見る人たちもいる。なにを感じていいのか戸惑うような時間だってあるだろう。しかし最高に意味のなさそうなことこそ、最高に人しかできない高度に豊かなことなんじゃないか。その不可思議さこそ、人の豊かさの、頂点にあることじゃないのか、と私は思う。

どうせ生きてきたことに大した意味なんかない。というのと、生きてるってそれだけでとっても貴いことだ。というのとは、違った言葉でひとつのことをさしているのだと思う。そのひとつのことを直視したら、まっすぐきもちはきっと、こんな表現に向かうのだろう。そう私は思っている。

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鈴江俊郎(すずえとしろう) 氏(office 白ヒ沼 代表)

<プロフィール>
大阪府生れ。大学在学中に演劇活動を始める。1993年ー2007年まで劇団八時半の主宰として京都で活動。以来、ほぼ全作品の作演出を手がけ、俳優として舞台にも立つ。関西劇作家の登竜門だったテアトロ・イン・キャビン戯曲賞やOMS戯曲賞だけでなく、シアターコクーン戯曲賞、岸田國士戯曲賞、文化庁芸術祭賞大賞(演劇部門)など戯曲賞を受賞。
戯曲は英独露インドネシア語に翻訳され海外でも紹介されている。
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【公演情報】

とうおんアートヴィレッジフェスティバル2021参加作品
~ソノノチ 風景演劇プロジェクト~
『風景によせて2021 かわのうち あわい』

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夢で、ある風景を見る
その風景を、わたしはよく知っている

目が覚めても、わたしの片足はまだその夢の川につかっていて
緑のにおいがするまどろみの中で
あと少しだけ、と風にゆられている

しばらく間があって、坂を下れば
ずっと会いたかったパノラマ。
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【日時】
2022年
3月26日(土)・27日(日)
各日 ①11:00-/②17:00- 開演〔小雨決行、荒天中止〕

【会場】
惣河内神社 及び その周辺  受付場所:惣河内神社
( 東温市河之内甲4876 )
※川内インターから国道11号を西条方面に進み、国道494号に入って1.5km。
お車でお越しの方は、惣河内神社に隣接している金毘羅寺の駐車場をご利用ください。

【料金】
一般|1,800円
高校生以下|無料

【チケット取り扱い】※2021年11月29日(月)12:00受付開始
◆予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/tavf20220326
◆東温アートヴィレッジセンター 窓口または電話予約
TEL:089-990-7210(10:00~20:00 火曜休館)

★ギフトチケットも受付!🎁
ギフトチケット|1,800円
(ソノノチオンラインショップのみで取扱い)
舞台芸術の公演のチケットを大切な方にプレゼントしませんか?
贈られた相手があとから日時指定できる、観劇プレゼントにぴったりなチケットです。
ソノノチオンラインショップ|https://sononochinochi.stores.jp

【お問合せ】
電話|080-5710-4704(担当:田中)
Mail|toonartvillage2@gmail.com(東温風景演劇プロジェクト専用Mail)


【構成・演出】中谷和代

【出演】
芦谷康介、桐子カヲル、筒井茄奈子、藤原美保、脇田友

【スタッフ】
演出部:北方こだち
楽曲制作:瀬乃一郎(廃墟文藝部)
衣装:たかつかな(何色何番)
舞台監督:脇田友(スピカ)
宣伝美術:ほっかいゆゐこ
イラスト:森岡りえ子
制作:渡邉裕史
制作補佐:小寺春翔
アーカイブ:柴田惇朗

【協力】
東温アートヴィレッジセンター 、とうおんアート・ラボ、河之内分館、惣河内神社、金毘羅寺、日向花愛、コキカル、サファリ・P、スピカ、
何色何番、廃墟文藝部、プロダクション航路延長、PPP

【スペシャルサンクス】
日置あつし

【企画制作】NPO法人シアターネットワークえひめ
【共催】東温市
【主催】東温市移住定住促進協議会
【助成】令和3年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
supported by KAIKA

<東温アーティスト・イン・レジデンス>
「舞台芸術の聖地」を目指すまちづくりを行う「アートヴィレッジとうおん構想」の取り組みの一環。東温市の豊かな自然と、人の暮らしが共存している中山間地域にアーティストが滞在しながら、その土地の自然や風景、人の営みや風土を活かした作品の創作を行う。

<ソノノチとは・・>
京都を拠点とするパフォーミング・アート グループ。空間そのものを作品として捉えるインスタレーションの手法を用い、劇場だけでなく、ギャラリーやカフェ等での上演を行ったり、絵画や音楽など、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも行う。